こどもにくすりをのませるコツ こどもにくすりをのませるコツ

石川洋一先生

監修

石川洋一 先生
明治薬科大学 薬学部教授

はじめに

初めて子どもにくすりをのませる時、とても心配ですね。
粉ぐすりを本当に子どもがのんでくれるのだろうか、点眼薬は親の私でさえもうまく使えないのに、そもそも坐薬って何だかわからない!
でも、その心配がお母さん・お父さんの顔に出ると、子どもはそれに気が付いてくすりをのむのをいやがるようになります。お母さん・お父さんが自信をもって笑顔でくすりをのませてあげると、子どもは安心してくすりをのむようになります。
まずはお母さん・お父さんがくすりの知識・くすりの上手なのませ方をしっかり知ることが、子どもにくすりをのんでもらうための、そして子どもの安全を守るための大事な一歩なのです。
このWEBページには、大切なくすりの基礎知識・くすりの上手なのませ方や使い方について分かり易く書いてあります。また、くすりをきちんと片付けないで子どもが間違ってのんでしまった、などのことが無いように誤飲への注意も書いてあります。
どうぞくすりを正しく安全に使うために、このWEBページをご活用ください。

1くすりの基礎知識

人の体には、病気を予防し、病気や怪我等から回復するための力「自然治癒力」が備わっています。
くすりは、「自然治癒力」が充分に働かない時に、病気やけがの回復を助け、病気の原因を取り除くために使われます。

くすりには主作用と副作用があります。

くすりの本来の目的である病気を治したり、症状を軽くしたりする働きのことを「主作用」、くすり本来の目的以外の好ましくない働きのことを「副作用」といいます。

注意すべきくすりの副作用

しっしん、じんましん、ふるえ、元気がない等いつもとちがう様子がみられた時は、医師・薬剤師に相談しましょう。
以下にあてはまる時は、あらかじめ医師・薬剤師に相談してください。

  • アレルギーが出たことがある。
  • くすりの副作用を経験している。

くすりは、種類や治療を受ける疾患、年齢、体重、症状により、使用方法が決められています。
医師が処方する医療用医薬品は、お子さんに合わせた使用方法で処方されますので、説明書や医師・薬剤師の指示に従って使いましょう。自分の判断で止めたり量を減らしてはいけません。
また、残ったくすりを別の機会に使う、他の人に渡す、兄弟間で使いまわす等してはいけません。薬局やドラッグストア等で購入できる市販薬は、薬剤師の説明やくすりの説明書に従って使いましょう。

くすりをのむタイミング

くすりをのむ
タイミングQ&A
Qくすりの説明書には食後と書いてあるけど・・・?

A子どものくすりを食後にのむ一般的な理由は、
食事の時間に合わせることでのみ忘れを防ぐためであり、食前であっても、だいたい一定の間隔でのませられれば問題ありません。また、乳児は睡眠や食事の時間が定まらないことも多いものです。

  • 1日3回のくすりは、次にのむまで4時間以上空ける
  • 1日2回は6時間以上
  • 1日1回は8時間以上
を目安にする等、時間でくすりを与えるタイミングを考えてもかまいません。
医師・薬剤師に相談してみましょう。

のみ薬を食前食事中

乳児はお腹がいっぱいになるとくすりをのめなくなることが多いので、薬剤師と相談して、食後のくすりを食前にのませる方法も有効です。
幼児では味のないくすりの場合は、食べ物を与えた後にさりげなくのませてみるのもいいでしょう。例えば、バナナペーストの合間にのませて、嫌な顔をしたらすかさず次のバナナペーストを口に運ぶ等上手にごまかすのもひとつです。

Q食欲が無い時にくすりだけのませてもよいの?

A食事がとれなくてもくすりはのませてください。くすりだけでのませてよいか、先に薬剤師に相談しておくと安心です。

Qくすりをのまずに寝てしまった場合は?

Aくすりをのませる時間に寝ている場合は、時間だからといって無理に起こさず、起きた時にのませてください。しっかりと眠って体力を回復するのは大切なことです。
お子さんの起きた時間が次のくすりの時間と近い場合は、1回飛ばしてもよいことも多いので、医師・薬剤師に相談してみましょう。

Qくすりをのませ忘れた場合は?

Aのませ忘れたからといって、絶対に2回分を一度に与えてはいけません。くすりの種類によってのませ忘れた時の対応が異なるので、のませ忘れた時の対処方法をあらかじめ医師・薬剤師に聞いておきましょう。

Qくすりをのんですぐに吐き出してしまった場合は?

Aすぐに吐き出してしまった場合は、くすりの成分はほとんど吸収されていないと言えます。
同じ方法でのませても、またすぐに吐き出してしまうかもしれないので、少し時間を空けて別の方法で試してみましょう。30分~1時間程のずれは気にしなくても大丈夫です。
それでもダメな場合は医師・薬剤師に相談しましょう。

2くすりをのむための環境づくり

お子さんはくすりをのむ気分になっていますか?
くすりを上手にのませるには、「お子さんがくすりをのむ気分になるような」環境づくりも重要なポイントです。お子さんによって、また、その時のお子さんの気分によっても上手にのめる方法は変わり、一度上手くいった方法が次も上手くいくとは限りません。色々な方法を知って選択の幅を広げることも大切です。

保護者が心配そうだったりイライラしたりしていると、お子さんはくすりをのむことが「叱られる、嫌なもの」だと考えるようになります。「くすりを上手にのめたら褒められる、うれしいこと。」だと思ってもらえるようにしましょう。

シールを利用する

上手にできたらシールを貼る等、達成感を得られるよう工夫してもいいでしょう。

くすりについて説明しましょう。

お子さんが言葉を理解できるようになったら、くすりは病気を治すために使うこと、くすりを使えばよくなることを説明してあげましょう。
また、くすりを受け取る際はどのような副作用が起きる可能性があるか確認してください。何か変だと思ったら、お子さんが自分から言えるよう「かゆくなったら教えてね」等先に伝えておくとよいでしょう。

のみ方を教えてあげましょう。

お子さんが大きくなってきたら、自分でくすりののみ方が分かるように教えてあげましょう。いつ、何錠のむのか等、くすりのルールをお子さんがわかる言葉で上手に説明してあげてください。

幼児( 満1歳~小学校入学まで) には、自分だけでのませてはいけません。
保護者の確認が必要です。

水でのむ“大人のみ”にチャレンジ!

さらに大人の話が十分理解出来るようになってきたら、大人と同じように水でのめるように促しましょう。

競争心を刺激して

友達や兄弟が水で上手にのんでいることを伝え、本人をやる気にさせる方法も有効です。

3くすりの使い方

くすりにはいろいろな形と使い方があります。

くすりの種類によって使用方法が異なるので、医師・薬剤師の説明、説明書に従って使用しましょう。
くすりを使う前は、手指を清潔にし、また、使い終わったら手をしっかり洗いましょう。

内服薬

くすりをのませた後は水等で口直しをしましょう。口の中に残ったくすりを洗い流す目的もあります。この時、くすりをきちんとのめているか、吐いていないか確認しましょう。

容器をアレンジ

お子さんの好きなキャラクターの容器や珍しい容器を使うと、楽しくくすりをのんでくれることもあります。

■ 成長に応じたくすりののませ方

シロップ剤

  1. 泡立たない程度に軽く振って中身を均一にします。
  2. 1回分の量を正確に測ります。
  3. お子さんに合った方法でのませます。
    スポイト

    ほほの内側に流し込みます。のどの奥に入れないように注意しましょう。使用したスポイトは、必ずよく洗って乾燥させてください。

    哺乳瓶の乳首

    ミルクをのむ乳児では、空の哺乳瓶の乳首だけを口にくわえさせ、吸い始めたらシロップを入れるとこぼさずにのませることができます。

    スプーン

    スープをのませる要領でのませます。

    小さめのコップ

    コップでのめるようになったら、小さめのコップに入れてのませましょう。

  4. 口直しに水またはぬるま湯をのませます。
  5. 使った計量カップ等はきれいに洗って、くすりは冷蔵庫で保管しましょう。
Point

シロップ剤と粉ぐすりが同時に処方された場合、混ぜてのませてよいかあらかじめ薬剤師に確認しましょう。

粉ぐすり(散剤・顆粒剤)

粉ぐすりをそのまま与えると、味をいやがったり、むせてしまったりして、うまくのめないお子さんもいます。
のみにくい場合は次のような工夫をしてください。

スプーン
  • 小皿で溶かした粉ぐすりをスプーンですくってのませます。粉ぐすりをスプーンにのせた後に少量の水をたらしてそのままスプーンでのませる方法もあります。
    (前述のように、スポイトや哺乳瓶の乳首も利用できます。)服薬補助ゼリーを使用する場合は、スプーンにゼリーを出し、粉ぐすりをのせ、さらにその上からゼリーをかけて、サンドイッチするようにしてください。

  • 口直しに水またはぬるま湯をのませます。

ドライシロップとは?

シロップ剤から水分を除去し、粒状にして糖分を混ぜたくすりです。

  • のめれば、そのまま口の中に入れます。のんだ後は、水またはぬるま湯をのませます。
  • 水等に溶かしてもよいです。
Point

たくさんの量に混ぜてしまうとくすりをのみきれないこともあるので、一口でのめる量にしましょう。

おくすりシャーベット

冷たくすると味を感じにくくなります。少量の水を混ぜたくすりを凍らせてシャーベット状で食べさせるのもいいでしょう。
ただし、咳が出ているお子さんは咳を誘発することがあるので避けましょう。

飲食物と混合

嫌がってのまない時は、飲食物に混ぜてのませます。

混ぜるとのみやすく
なる飲食物等

例)水、ぬるま湯、お茶、乳児用イオン飲料、ヨーグルト、アイスクリーム、牛乳、プリン、ゼリー、ジュース、ジャム、バナナ、すりリンゴ、黒蜜、コンデンスミルク(練乳)、チョコレートペースト、服薬補助ゼリー 等

くすりと飲食物の組み合わせによって、混ぜると効果が弱くなったり苦味が出たりするものもあります。混ぜてよいかあらかじめ薬剤師に確認しましょう。
聞きそびれてしまった場合は、自己判断せずに電話で聞くようにしましょう。

Point
  • くすりを混ぜているところをお子さんに見せないようにしてください。
  • 食べ物の場合は均一に混ぜるのではなく、くすりを挟むようにしましょう。
  • 嫌がる時は、保護者が味見をしてみるとよいかもしれません。
  • くすりを水や飲食物と混ぜて長時間放置すると、くすりが溶け出して効果が弱くなったり、苦味が出たりします。作り置きせずに、用意したらすぐにのませましょう。
混ぜてはいけない
飲食物等
  • 1歳未満の乳児には、はちみつは絶対に与えないでください。乳児ボツリヌス症を発症する危険性があります。
  • くすりの成分が変質してしまう可能性もあるので、熱い食品にくすりを混ぜるのは避けましょう。
  • 主食となるミルクやおかゆ等にくすりを混ぜないでください。味が変わり主食・ミルク嫌いになるおそれがあります。

錠剤・カプセル剤

  • くすりを口の中に入れます。
  • くすりが食道の壁に付着して炎症を起こすことを避けるために、コップ1杯の水またはぬるま湯と
    一緒にのませます。
Point
  • のんだ後、口の中にくすりが残っていないかどうかチェックしてください。
    まれに口の中にそのまま残っていることがあります。
  • 錠剤をかんだり、くだいたり、カプセルを開けたりしてはいけません。

寝かせたままでのませると、窒息するおそれがあります。

くすりの形の変更

錠剤を粉ぐすりにする等、同じ効果を持つ別の形のくすりに変更できることもあります。お子さんが苦手なくすりを処方された場合は、医師・薬剤師に相談してみましょう。

誤飲に注意!!

  • お子さんの誤飲事故が多く発生しています。お子さんの行動を考えて、くすりの保管場所に気を付けましょう。お子さんの手の届かない、見えない、高温・多湿・直射日光を避けた場所に保管しましょう。
    また、服用直前に用意して、服用後はすぐに片付けましょう。

    お子さんが誤ってくすりをのんでしまった場合は、かかりつけの医師・薬剤師に相談しましょう。
    また以下のような相談機関に電話しましょう。
  • こども医療でんわ相談 #8000(都道府県相談窓口に自動転送)
    出典:厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html
外用薬

塗りぐすり(軟膏、クリーム、ローション)

  • 適量を指先にとって患部(医師に指示された部位)に塗ります。お子さんの年齢や症状によって「適量」は異なります。医師・薬剤師に確認しましょう。
  • 塗り終わったら手をよく洗いましょう。
Point

チューブから直接患部には塗らないでください。
直接塗ると、チューブの口に雑菌がついたり、塗りむらや塗った量がわからなくなります。

坐 薬

  1. 冷蔵庫で保管しているものは、取り出したら手で少し温めて入れやすくします。坐薬が入りにくい場合は、先端を少量の水やベビーオイル等で濡らすと入りやすくなります。便と一緒に出てきてしまうことがあるので、できるだけ排便後に使用しましょう。
  2. 2分の1量等、切って使うように指示がある時は、包装の上から清潔なカッターやハサミ、包丁等で斜めに切ります。
  3. 清潔な指でシートから取り出し、坐薬のとがった方(太い方)を肛門にあててしっかり押し込みます。
  4. 入れたら10秒ほど押さえ、坐薬が出てこないことを確認します。
    挿入直後に排便してしまった場合、そのままの形で出ていれば、新しい坐薬をもう一度挿入してください。溶けて出てきたら再度挿入は不要です。

点鼻薬

  1. 使用前に鼻をかみましょう。鼻がかめない場合は、鼻の中の汚れをふき取ってください。容器を上下によく振ります。
  2. 片方の鼻の穴をふさぎ、もう一方の鼻の穴に容器の先端を入れ、使用します。
    滴下タイプでは顔を上に向けて使用します。噴霧タイプでは頭をうつむき加減にして使用します。
  3. 使用後は、容器の先をティッシュ等できれいにふき、キャップをしてください。

点眼薬

  1. お子さんを仰向けに寝かせます。嫌がる場合は、足の間に頭を置き両足で両腕を固定します。無理やり押さえつけるのではなく、楽しい雰囲気を作りましょう。
  2. 容器の先が目やまつげにふれないように、点眼薬を1滴入れます。目を固くつぶってしまう時は目頭にそっと置くように点眼します。まばたきで中に入っていきます。お子さんが泣いている場合は、点眼薬が涙で流れてしまうので、避けてください。
  3. 目に入れた後は、目頭を押さえると点眼薬が鼻に流れてしてしまうことを防ぐことが出来ます。
  4. 目からあふれ出た点眼薬は清潔なティッシュ等でふき取ってください。
点眼薬は1滴で十分

1滴させば十分全体にいきわたります。お子さんが目を閉じていても、何度もトライしないで大丈夫。

薬剤師に確認しておく8つのポイント

  1. くすりをのむ・使うタイミングで気を付けることは?
    ・のみぐすりは食前や食中でもよい?
    ・坐薬を使うタイミングは?
  2. 食欲がない時、くすりだけのませてもよい?
  3. くすりをのみ忘れた場合はどうしたらいい?
  4. くすりと混ぜてはいけない飲食物はなに?
  5. シロップ剤と粉ぐすりを混ぜてもよい?
  1. くすりをのむ・使う順番はある?
  2. くすりを凍らせても大丈夫?
  3. 以下にあてはまる時は相談しておきましょう
    ・他のくすりをのんでいる
    ・ほっしん、じんましんが出たことがある
    ・くすりの副作用を経験している
「おくすり手帳」を
携帯しましょう

「おくすり手帳」には、使用しているくすりやアレルギーの有無、副作用歴等の大切な情報が書かれていますので、常に携帯しましょう。
医師・薬剤師に確認してもらうと、今使用しているくすりがわかり、のみ合わせや重複を確認してくれます。

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