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<2011年度 アニュアルレポート 目次>

 


医薬品を理解し適正に用いることが、人の健康、生命の維持にとって大切であることを認識し、確実に行動に移せるよう、一般人(患者さんを含む)には啓発を進めると共に、専門家にはそのサポート役を担ってもらえるよう働きかける。

薬剤疫学の理論と実践について啓発を図る

@ 医薬品を製造販売し供給する立場、及び医薬品を使用している立場からのデータ(薬物治療に関する情報)についてデータベース化を進め、適正使用につながる情報を提供、創製する。
A 海外におけるファーマコビジランス等、医薬品リスクマネージメントの動向を調査、研究する。


ドラッグリテラシーの育成・促進を図るとともに、事業の広報を拡大する

@ 若年者には医薬品教育に携わる人を通して、一般人には協議会を通して、リテラシーの啓発を進める。
A リテラシーに資する情報、例えばくすりのしおりを充実する
Bメディアとの意見交換会を開催する。


医薬品の適正使用啓発(RAD-AR)活動のあり方に関する検討会の提言を、平成24年度から実施に移すための具体策を検討する

 


   


(1) 集中セミナー(インテンシブコース)
 会員企業の製造販売後調査、安全管理等の部門で指導的役割を担う社員を対象に、“日常業務に活用できる最新情報の修得”を目的としたセミナーを、平成22年11月に2日間にわたり開催し、51名が参加しました。外部講師の先生による国内ならびに欧州における最新の動向についての解説、企業からOTC医薬品の市販後調査、同種同効薬の添付文書改訂に対する各社の対応の違いについてディスカッションを行いました。参加者からは「参考になった」との感想が多数聞かれ、参加者相互の交流も行う事ができました。

(2) 実務者セミナー(シニアコース)
 企業の製造販売後調査、安全管理等の実務担当者を対象に、“薬剤疫学を日常業務に実践できる知識修得”を目的として、平成22年9月に東京で開催し、120名(非会員も含む)の参加がありました。3人の講師から医療統計と薬剤疫学の手法等の解説があり、参加者からは、「事例を踏まえた説明が多く深く理解できたように思う」「研究報告について、具体的な文献を示して頂き、論文の見方、注意点を示してほしい」との感想が聞かれました。

(3) 初心者セミナー(ビギナーコース)
 企業の製造販売後調査、安全管理等に携わる比較的実務の浅い社員や、“薬剤疫学の基礎知識修得”を目的として、会員企業以外にも門戸を開き、平成22年7月に東京と大阪で開催しました。合計140名の参加のもと、用語の解説から疫学の全体像、さらに個別の研究デザインを学び、基本的な知識の整理を行いました。参加者からは実務での応用や疫学の考え方について積極的な質問があり、9割以上の方から内容の量やレベルが「丁度良い」との評価をいただきました。

(4) 育薬アカデミー実践セミナー
 平成16年度に設立した育薬アカデミーの教育研修事業の一環として、会員企業の製造販売後調査、安全管理等の実務に携わる者を対象に、@プロトコル作成教育研修セミナー(6日間)、Aファーマコビジランス教育研修セミナー(2日間)を開催しました。
聴講だけでなく、グループディスカッションに重点を置いたセミナーであり、両セミナーから習得した知識、手法は、明日からすぐに実践できるものです。既に両セミナーの卒業生は合計200名を超え、会員企業内で薬剤疫学普及の核となって活躍しています。


 薬剤疫学普及のため、当協議会が認定した講師が、薬剤疫学の学習を希望する医療施設・企業などに出向き講演する活動を行っています。平成22年度は新たに1名が講師に認定され計8名となりました。会員会社3社及び1機関から依頼を受け講師を派遣し、それぞれの要望に応じて、薬剤疫学の基礎、薬剤疫学の実例と研究デザイン、学会発表に至った調査の実例、について解説しました。


 医療機関や製薬企業で薬剤疫学研究を目指す方々へ研究相談、研究プロトコルの作成、研究実施、データ解析までの相談に応じられるように「薬剤疫学情報センター」(Pharmacoepidemiology Research Center :PERC)を設置しています。
 平成22年度は、民間企業から寄せられた1件の薬剤疫学研究方法の相談に対応しました。

 
 日本ではいまだに薬剤疫学研究に使えるデータベースは存在しないといえます。このため当協議会では有志会員企業から再審査申請のために実施した使用成績調査などのデータを提供いただきデータベースを構築するとともに、構築されたデータベースを用いた薬剤疫学研究を実施しています。これまでに構築した「降圧薬」および「経口抗菌薬」の使用成績調査データベースの活用推進と、新たに「高脂血症治療薬」の製造販売後調査データベースを構築しました。

(1)企業の情報を基とするデータベースの拡充、利用等
 新規データベース構築では、会員企業4社より高脂血症治療薬の製造販売後調査(使用成績調査及び特別調査)のデータが提供されました。これを基に、高脂血症治療薬のデータベースを構築し、第三者によるデータ検証を行いました。

(2)医療担当者の情報を基とするデータベースの構築
 ヨーロッパには、英国のGPRD(General Practice Research Database)に代表されるように、かかりつけ医の診療記録を集積した「診療情報データベース」がいくつか存在しますが、日本には疾患や地域ごとにまとめたデータベースが存在しません。日本における診療情報データベース構築のニーズを把握するために昨年度実施した予備調査を踏まえて、日本臨床内科医会の医師を対象にアンケート調査を実施しました。
 また、薬剤疫学研究に活用可能な臨床情報を扱った海外のデータベース(GPRD含む)について調査しました。

(3)データベースの保守、管理
 当協議会が構築したデータベースに関心のある研究者(2名)に対して、データベースの説明とサンプルデータを提供しました。


 「海外情報研究会」では、欧米で発表された薬剤疫学論文やRisk Managementに関する論文の評価検討し、日本での対応を考えるために活動をしています。平成22年度は、AHRQ(Agency for Health Research and Quality)が提唱した疫学研究手法のひとつである「Registry;患者登録制」の論文を研究・評価したものを小冊子にまとめ会員社に配付しました。
 また、CIOMS VIII報告「ファーマコビジランスにおけるシグナル検出の実践」(日本語訳)を検討、翻訳し、今春出版予定です。


(1)海外
 8月、イギリスのブライトンで開催された国際薬剤疫学大会に会員企業から2名を派遣し、情報交換を図りました。

(2)国内
 10月末にかけて東京で開催された日本薬剤疫学会とアジア薬剤疫学会との合同開催による学会に会員社から11名を派遣し、情報の入手を図りました。 また、日本製薬工業協会PMS部会との情報交換を通じ、薬剤疫学研究に資するデータベース構築についての情報共有と協力関係の強化を図りました。


 平成24年度から中学校保健体育の授業において、義務教育として「くすり教育」が始まります。また、高等学校では「くすり教育」の内容がレベルアップされます。医薬品を含むヘルスリテラシーを若年の時から身につけることが、将来、医薬品の適正使用に役立つと考え「くすり教育」の普及活動を展開しています。

(1)生徒を対象とする「くすり教育」のサポート事業
@教育者向けくすり教育出前研修の実施
 中学校、高等学校でくすり教育を担当する教育者向けに、くすり教育の背景や授業の一例を提案できる講師(くすり教育アドバイザー)を派遣し研修会を行っています。当協議会では「くすり教育アドバイザー」制度を設けており、平成22年度は新たに3名が加わり、計20名となりました。
また、平成22年度は研修会を開始してから初めての依頼となる保健体育教諭を始め、養護教諭、学校薬剤師らの団体から要望があり、全国18か所で1,500名を超える受講者に研修を行いました。研修内容では、授業の一例として実験や模型を使うパートが好評でした。
A教材の更新
 教育専門家、保健体育教諭の協力のもと、中学校の義務教育内容「医薬品の教育」を指導できる『マグネパネル』(医薬品の体内動態「薬の運ばれ方」+血中濃度「薬の血中濃度」)を10セット製作し、貸し出しを開始しました。特徴は、黒板に貼り付けられるマグネット式のアナログ教材で、生徒の理解度に合わせて教師が指導出来る点です。

B「くすり教育」認知度向上
 4つの学校教育関係学会に出展を行い、参加した約1,500名の方々に医薬品の教育に関する教材を紹介しました。
 また、日本学校保健学会にて、全国の小中学生の医薬品や健康に関する知識の実態と、医薬品に関する教育の効果について口頭発表を行ったところ、学校保健の研究者から多くの質問が寄せられました。

 

(2)一般人を対象とする事業
@定例開催イベントへの参加
 近年、医薬品適正使用の啓発を目指し、地域公共団体が行う健康啓発活動に参画しています。平成22年度も当協議会が所在する〔東京都中央区〕で行われた、「2010子どもとためす環境まつり」に3年連続で出展しました。新たな実験や『薬剤師ごっこ』コーナーの設置、そしてクイズや紙芝居などを使いながら、子供たちに楽しく医薬品の適正使用について学んでもらいました。また、中央区福祉保健部から依頼があり、中央区介護保険サービス事業者連絡会会員を対象に「くすりの正しい飲み方」について講演しました。

 

Aミニシンポジウム運営の仕様書の作成と公表
 過去に自治体等と開催した市民啓発活動(ミニシンポジウム)で用いた資材、資料について見直しを行い、ホームページに掲載する準備をしました。

 医療担当者と患者さんの情報共有とコミュニケーション促進に用いられる個別医薬品情報シート「くすりのしおり」は、「くすりのしおりクラブ」会員企業136社と協働して、内服・外用薬9,770件、注射薬992件、合計10,762件を作成し、ホームページ上に掲載しました。(2011年3月末現在) 
また、バリアフリー対応として、英語版1,218件を作成、掲載するとともに、内服・外用薬の全「くすりのしおり」に音声コードをつけて目の不自由な方への対応もしています。「くすりのしおりR」のホームページへの利用状況は、月平均436,000件(「くすりのしおり」全品目ページ参照回数)を超えています。
今日、インターネットを通じて、ますます患者さん・医療消費者が、医療用医薬品に関する情報を得る手段が多様化しています。当協議会は、患者さんと医療担当者のコミュニケーションツールとしての「くすりのしおり」の認知度を高め、利用を促進する必要があると考え、平成21年度、医療施設向けに「くすりのしおりデータダウンロードシステム(DDLS)」(https://www.rad-ar.or.jp/siori_dl/entrance.html)を開発しました。このシステムにより、「くすりのしおり」における必要な医薬品情報を一括ダウンロードして、独自の情報提供資料に加工できる等、より一層利用者の利便性向上を図りました。データ提供先での利用状況としては、@医療関係(薬局)などでの利用、Aくすり検索ポータルサイトでの利用、Bモバイルアプリケーションでの利用などです。特に大手薬局の中には、レセプトコンピュータの中に「くすりのしおり」が搭載されたことで、薬剤師が患者さんにハイリスク薬などの説明資料として「くすりのしおり」を利用し、患者さんに「くすりのしおり」を手渡しているところもあります。
 また、「くすりのしおりクラブ」会員各社との意思疎通を深め、情報の信頼性、品質の向上を図るため、担当者会議を開催しました。
 さらに、「患者さんと医療者が対等な立場で議論し、患者さん自身が治療方針や適切な医薬品を選択していく」という理念の下で公開している「コンコーダンス指向くすりのしおり」(http://www.rad-ar.or.jp/concordance/html/index.html)では、高血圧編、糖尿病編、小児喘息編をホームページ上に公開しており、「医療関係者とのパートナーシップを構築できる患者さんの育成」に一歩ずつ前進していけるよう努力しています。


 当協議会の活動報告や医薬品適正使用の情報を提供するため、機関誌RAD-AR Newsを年4回刊行しました。一般の方へも協議会活動を知っていただくことを目指し、全国の薬学部の図書館に送付し、ホームページにも「電子ブック」を掲載しています。また、ニュースを補完する目的で、ホームページの「RAD-AR TOPICS」(12回)、および「メールマガジン」(11回)を発信しました。


 当協議会の認知度向上並びに活動内容の周知を目的として、事業活動のトピックスに対応してニュースリリースを適宜実施しています。今年度は15件ニュースリリースした結果、新聞紙面62件に掲載、テレビ1件で放映されました。
 また、一般生活者への適正な情報発信の基盤構築の貢献を目指し、医療ジャーナリズムを担う若手記者を対象に、くすりの基礎知識やトピックスを取り上げた勉強会を開催しました。

 運営委員が活動方針を理解し、会員相互の交流を図ることを目的に、研究会を開催しています。今年度は、運営委員の理解を共通にするため、まず活動の理念および過去の活動内容を再確認しました。その上で、コミュニケーション部会の活動・組織の現状における問題点を抽出し、課題を整理しました。

 医薬品に関する一般市民の意識が1999年、2005年に実施した調査結果と比較することでどのように変わってきているかを検証し、その内容を今後の協議会活動の方向性検討に反映させることを目的として、20〜60代の患者さん・一般人1,500名を対象に調査しました。
 結果では、「処方薬に関する一般市民への説明は充実してきている。特に、使用方法や使用量に加えて“副作用の対処方法”や“飲み忘れの対処方法”についての説明などがある」ことがわかりました。しかしながら、「余った処方薬を捨てずに再利用する、また、医療者の確認を受けないまま1年以上長期服用している人が少なからずいる」ことから、適正使用に関する服薬指導項目として追加する必要があると思われます。さらに、「処方薬について医師や薬剤師に尋ねない患者が増えている」ことと、「市販薬の購入時に薬剤師や販売登録者に相談する人は少数派である」ことから、一般市民への『医薬品教育』の必要性は高まっていると考えられる、ことなどが伺われました。

定点調査の詳細は以下URLからご覧になれます。
http://www.rad-ar.or.jp/blog/2010/10/20601500_1.html

 

 RAD-AR活動の根幹をなす「医薬品適正使用の確保」について、今日の医療・医薬品をとりまく情勢を踏まえ、どのようなアプローチがあるのか、外部の有識者の参加を得て5回にわたって検討会を開催しました。また同時に、活動を支える組織、財政、広報活動のあり方についても検討しました。
  検討会から出された提言は、平成24年度から具体的な活動として展開していく予定です。

 

 薬を正しく使うことの大切さの普及・啓発を推進することを目的とし、「第2回くすり川柳コンテスト」を実施しました。
年齢とともに増える薬の種類、外出時の薬の携帯や飲み忘れをしていないかを確認し合う家族間のコミュニケーション、苦い薬を子供に飲ませる母親の工夫、闘病の中で命をつなぐ薬への感謝・希望など、日常生活における薬との関わりを様々な視点から詠った感性豊かな作品が、昨年の2,425句を大幅に上回り、全国から9,743句寄せられました。
 入賞作品はコピーライターの仲畑貴志氏に選定いただきました。

 

 


RAD-AR活動をささえる会員
企業会員  20社 (五十音順)
 
くすり相談窓口TEL
 
       
■アステラス製薬株式会社 医療関係者 0120-189-371  
一般の方 0120-865-093  
■アストラゼネカ株式会社 医療関係者 0120-189-115  
一般の方 0120-119-703  
■エーザイ株式会社 医療関係者 0120-419-497  
一般の方 0120-161-454  
■MSD株式会社 0120-024-961  
■大塚製薬株式会社 0120-189-840  
■キッセイ薬品工業株式会社 03-3279-2304  
■協和発酵キリン株式会社 0120-850-150  
■興和株式会社 医療用医薬品 0120-508-514  
(03-3279-7587)  
OTC医薬品 03-3279-7755  
(一般用医薬品)  
サノフィ・アベンティス株式会社 0120-109-905  
■塩野義製薬株式会社 医療関係者 0120-956-734  
一般の方 0120-501-074  
■第一三共株式会社 医療関係者 0120-189-132  
一般の方 0120-693-132  
■大正製薬株式会社 医療用医薬品* 0120-591-818 *)大正富山医薬品株式会社
03-3985-5599  
一般の方 03-3985-1800  
■大日本住友製薬株式会社 医療関係者 0120-034-389  
一般の方 0120-885-736  
■武田薬品工業株式会社 医療用医薬品 0120-566-587  
一般用医薬品 0120-567-087  
■田辺三菱製薬株式会社 医療用医薬品 0120-753-280  
一般用医薬品 0120-54-7080  
■中外製薬株式会社 0120-189706  
■日本新薬株式会社 075-321-9064  
■ノバルティス ファーマ株式会社 0120-003-293  
■ノボ ノルディスク ファーマ株式会社 0120-180363  
■Meiji Seika ファルマ株式会社 医療関係者 03-3273-3539  
一般の方 03-3273-3474  
   
個人会員  2名 (五十音順)
大野 善三(医学ジャーナリスト)
三輪 亮寿(弁護士)  
 
(敬称略)
 

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