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2012年07月27日

第15回日本医薬品情報学会学術大会 ポスター発表

 近畿大学を会場として、第15回日本医薬品情報学会学術大会が2012年7月7-8日に開催されました。今回のテーマである「医薬品情報-その正しい評価と解析・提供-」に対して、当委員会からは今年もくすりのしおり®を題材とした、『英語版くすりのしおり®の今後の取り組みについて』をポスター発表を行いました。ポスターの詳細はこちらからご覧いただけます

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 くすりのしおり®は、当協議会において薬剤師の資格をもった者が、国と企業により評価された添付文書を参照する事により、その内容を公開前に確認しています。日本にはもちろん外国人の患者さんも多数います。全ての言語に対応する事は難しいところですが、せめて世界中で広く利用されている英語に対応するのは企業の社会貢献 ではないか、ということで2003年から英語版の作成に取り組んでおります。この度、取り組みを始めて以降の作成状況を調査しました。
 2012年5月31日現在、くすりのしおり®は製薬企業141社により約1万件作成されています。そのうち英語版くすりのしおり®は45社1,656件(16.4%)でした。医薬品の有効成分652成分に対してくすりのしおり®英語版が作成されていますが、有効成分を薬効群別に集計したところ、市場にある成分に対する充足度にばらつきがありました。例えば、比較的多くの成分に対応できていたのは、血圧降下剤(62.3%)と眼科用剤(62.5%)、あまり対応できていなかった薬効群は、精神神経用剤34.2%、鎮痛・鎮痒・収斂・消炎剤24.2%でした。
患者さんがくすりを使用するにあたり、副作用等を踏まえて医薬品の安全使用のために必要な情報を患者さんに提供すること、また、医薬品の使用に伴って患者さんに変化がおきていないかどうかを薬剤師が気遣う事が求められています。こうした薬剤師業務の中で、各医療機関では特に注意が必要な医薬品(ハイリスク薬)を定めています。
そこで、くすりのしおり®を利用している調剤薬局チェーンのご協力を得て、ハイリスク薬に対してくすりのしおり®英語版がどの程度作成されているかを調査しました。ある薬局において、調剤される医薬品のうちハイリスク薬は247成分あり、くすりのしおり®は239成分(96.8%)に対応していましたが、英語版はほぼ半数の125成分(50.6%)でした。
また、ある製薬企業のお薬相談窓口に寄せられた英語版製品情報資料請求の使用理由を分析したところ、患者さんが渡航する際に英語で説明された資料を必要とされている割合が高い結果となりました。もう少し調査をしなければなりませんが、渡航の際に携帯される可能性のある薬剤の英語版くすりのしおり®の充実も重要な課題と考えられます。
 当協議会では、今後も、患者さんのニーズの把握に努めるとともに、英語版くすりのしおり®を患者さんと医療に携わる先生方に活用していただけるよう、網羅性と品質の向上に努めたいと思います。


2012年07月26日

今年も薬剤疫学入門セミナーを実施、RMP施行を前に参加者は過去最多

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  くすりの適正使用協議会は、薬剤疫学の基本的な研究デザインについて学んでいただくためのセミナーを、本年も東京(7/19)・大阪(7/12)の2カ所で実施しました。
 参加者は、東京会場で121名、大阪会場で53名、計174名と、本セミナーを開始して以来の過去最多となりました。協議会非会員社からの参加者が多くみられたのもここ数年の特徴です。
これは、今年4月に厚生労働省より「医薬品リスク管理計画(RMP:リスクマネジメントプラン)」を策定し運用するための通知が発出されたことが背景となり、広く医薬品リスク管理計画に携わる方々の中で、本研修のニーズが高まったことがあると考えられます。
RMPでは、安全性検討事項を特定し、医薬品安全性監視計画及びリスク最小化計画を立案し、必要に応じて製造販売後試験・調査も計画立案することになります。医薬品安全性監視(ファーマコビジランス)実践のためには、薬剤疫学の観察研究デザイン(症例報告、症例集積検討、コホート研究、ケース・コントロール研究、ネステッド・ケース・コントロール研究)を踏まえて計画することが必要になってきます。

             会員社  非会員社  合 計 
大阪会場(7/12)   16名    37名     53名
東京会場(7/19)   48名    73名    121名

◆参考:プログラム概要◆
医薬品安全性監視(ファーマコビジランス)、薬剤疫学/症例報告/症例集積検討、コホート研究、ケース・コントロール研究、ネステッド・ケース・コントロール研究

~特別講演~
◇大阪会場
2012年7月12日(木) (メルパルク大阪)
製造販売後観察データの徹底活用 <適正使用に向けた医薬品情報の構築へ>
名城大学薬学部医薬品情報学
教授 後藤 伸之 先生

◇東京会場
2012年7月19日(木) (大手町サンスカイルーム)
医薬品安全性リスクマネジメントにおける疫学の役割
京都大学大学院 医学研究科社会健康医学系専攻 薬剤疫学分野
特定教授 漆原 尚巳 先生
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2012年07月24日

第1回メディア勉強会開催

 くすりの適正使用協議会は、報道関係者の皆様を通じ、より多くの方々に「くすりの適正使用」の重要性についてご理解いただくために、本年度も3回シリーズでメディア勉強会を企画しています。
第1回目は、「社会的問題として考えるくすりの適正使用~薬局、薬剤師との適切なコミュニケーションから始まる適正使用~」をテーマに、日本大学薬学部医療コミュニケーション学研究室教授の亀井美和子先生よりご講演いただきました。
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医薬品は、医師、薬剤師などの指示通り、用法・用量を守って適正に使用することで、初めてその効果を最大限に発揮することができる。しかし、服薬アドヒアランスの低下による飲み残しは多く、調査結果から約6割が残薬を経験している。この服薬アドヒアランスの低下の要因は、病気や治療薬への理解不足や副作用への不安から意識的・非意識的に服用しないという行動が存在する。その結果、自身の症状改善の遅れや身体への悪影響を引き起こすとともに、不必要な治療へ繋がり、さらには受診や入院にそれ以上の医療費が費やされている可能性がある。
これらを回避するためには、薬剤師の「ファーマシューティカル・ケア」*が効果的で、患者と薬剤師 1対1のコミュニケーションと連携が求められる。薬局が積極的にファーマシューティカル・ケアを行い、患者が単に薬を受取る場所ではなく、ケアを受ける場所と考え、薬局・薬剤師を選んで活用することも必要であると、講演されました。
 *ファーマシューティカル・ケア:「患者のQOL向上のために、薬物療法に責任を持つ」という薬剤師の行動哲学

【開催概要】
■日時:2012年7月13日(金) 14:00~15:00
■会場:JAビルカンファレンス
■参加記者:24名
■テーマ : 社会的問題として考える「くすりの適正使用」
    ~薬局、薬剤師との適切なコミュニケーションから始まる適正使用~
日本大学薬学部 実践薬学系 医療コミュニケーション学研究室
 教授 亀井美和子 氏

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南あわじ市(兵庫県)で養護教諭を対象に「くすりの出前研修」を開催!

 7月9日、兵庫県南あわじ市西淡志知公民館において「南あわじ市小中学校保健担当者会」が開催され、養護教諭21名の参加のもと「くすりの出前研修」を実施しました。また、当日は神戸新聞社の記者が取材に訪れ11日の朝刊に研修の様子が掲載されました。
 以前に関連学会で配布された資料で「出前研修」を知ったことから、4月から中学校で義務教育化された「医薬品の教育」をどのように進めたらよいか?を学ぶことを目的に、協議会に対し研修の要望があったものです。

 研修ではまず、グループになって、くすりについての簡単なクイズを実施し参加者の意識を「くすり」に集中してもらい、その上で①くすりの基礎知識、②くすり教育の背景、③授業の1例、④教材紹介、の構成で進めました。スライドを見ながらの研修だけでなく、“③授業の1例”では、参加された先生方に実験(ペタペタ実験、お茶と鉄剤、ジュースと胃薬などの「のみ合わせ実験」)に直接参加してもらい体験型研修を実施しました。特に、お茶やジュースとの実験では、先生方がまるで生徒になったように会場から「ワー」という歓声もあがり体験しながら理解頂きました。さらに、“④教材紹介”では、協議会から提供した教材CD-ROMの使い方や、“薬の運ばれ方”、“薬の血中濃度”などのパネル教材等の使用目的と狙い、所要時間等を紹介し、今後の先生方の活用の一助になる事を期待し「出前研修」を終了しました。
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くすりの適正使用協議会 平成24年度総会を開催

 平成24年7月5日(木)に、野村コンファレンスプラザ日本橋・大ホールにて平成24年度総会を開催しました。
 協議会会員代表者のほか、関連団体の長や業界関係者、メディアなど約120名の参加を得ました。既に本年3月に開催した第39回通常総会で役員の選任は完了しており、今回の総会では、黒川理事長と藤原副理事長より当協議会の新たなリーダーとして、『患者・国民の理解と協力を第一に考える』ことを趣旨としたドクトリンを発表しました。これは、協議会の中期活動計画の中枢である「医薬品リテラシー」の育成・向上の核となるものです。
 総会後の懇親会では、これまで、そして平成24年度以降の活動において協力関係にある方々とさらに連携を強固にすることができたのではないかと思っています。
 新たなRAD-AR活動の展開においてマイルストンとなる総会でした。

 [特別講演]
  レギュラトリーサイエンスの役割と今後の展望  
    くすりの適正使用協議会 理事長  黒川達夫
  RCJの今後の進むべき方向性  
    くすりの適正使用協議会 副理事長 藤原昭雄
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2012年07月06日

「くすりのしおり®」英語版の作成数増加推移を学会発表

 くすりの適正使用協議会(理事長:黒川 達夫)は、薬剤師と患者さんのコミュニケーションの向上、さらに患者さんと医療従事者とのコンコーダンス*の実現が円滑に行われることを目指して「くすりのしおり®」を作成し、これまでに調剤薬局や病院・診療所等の医療機関に提供してまいりました。この度、「くすりのしおり®」英語版が作成開始から10年間で1,656件に達したことを、第15回日本医薬品情報学会総会・学術大会(近畿大学東大阪本部キャンパス/東大阪市:2012年7月7~8日)で発表することになりましたので、お知らせします。

 「くすりのしおり®」日本語版は、これまでに医療用医薬品の約70%に当たる約11,000件(141社)が作成され、2006年より外部へのデータ導出が行われており、薬歴管理システムやレセコンの他、(独)医薬品医療機器総合機構などの医薬品ポータルサイト等で利用されてきました。

一方、「くすりのしおり®」英語版は、2003年に1社13件で作成を開始し、10年間で45社1,656件まで漸増しました。英語版の利用用途としては、企業の相談室に寄せられた声として「患者さんが渡航する際に必要としている」という理由が44%を占めており、また2011年1月には医療滞在ビザが新設されており、日本で医療を受ける外国の患者さんへの対応に役立つことが期待されます。

くすりの適正使用協議会では、対象患者数が多い医薬品を中心に、今後も英語版を作成していく予定です。

*コンコーダンス:患者さんと医療従事者がパートナーシップを構築し、コミュニケーションを取りながら薬を決定し服用すること。

参考資料、詳細はこちらからどうぞ↓
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