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2007年07月31日

『使用成績調査データベースの活用事例』が日本統計学会誌に掲載されました。

 くすりの適正使用協議会では2000年から、薬剤疫学に利用できるデータベース構築を目指し、再審査申請のために実施した使用成績調査のデータ提供を会員企業に依頼し、降圧薬については143,509症例、経口抗菌剤については91,797症例データベースを構築しました。このうち、降圧薬データベースを用い、ACE阻害剤による咳嗽の発生要因を検討しました。
 概要を紹介すると、ACE阻害剤で治療開始した本態性高血圧患者26,361例を解析対象としたレトロスペクティブ・ケース・コントロール研究を行いました。ACE阻害剤の投与開始12週後までに咳嗽が発現した947例をケースとし、コントロールは同一薬剤の服用患者の中から時点マッチングで、ケース1例に対し3例をランダムに2,841例を選びました。条件付き多重ロジスティックモデルを用いた多変量解析の結果、女性、ACE阻害剤開始前の降圧剤治療 (β遮断剤、α遮断剤、Ca拮抗剤)、脂質代謝異常、呼吸器系の疾患の合併、肥満が咳嗽発生に関連する要因としてあげる事ができました。
 使用成績調査データベースが、比較的高い頻度で発現する有害事象の要因解析に有用である結果を今回得る事ができました。今後も引き続き薬の適正使用を推進するために使用成績調査データベースを活用して行きたいです。

「降圧薬の使用成績調査データベースの構築とその活用例」(藤田利治,真山武志.日本統計学会誌,36巻,205-217)。

 二つの薬効群を合わせ、既に23.5万症例の使用成績調査データベースが構築されております。これを利用した薬剤疫学研究をお考えの方は、当協議会に是非ご相談下さい。

『経口抗菌剤の使用成績調査データベースの構築』最終報告書を刊行しました。

 欧米諸国では市販後医薬品に関する多様な大規模データベースが構築されており、科学的根拠に基づいた医薬品の有効性・安全性に関する定量的・相対的な評価に貢献しています。残念ながら我が国にはこの種のデータベースは存在せず、薬剤疫学に基づいた市販後医薬品の評価が難しいのが現状です。そこで、この事態を改善する第一歩として、くすりの適正使用協議会では統計数理研究所と共同で、我が国独自の再審査制度の下で実施された使用成績調査のデータを活用し、市販後医薬品のデータベースの構築を進めています。
 既に会員企業17社から降圧剤21製品の使用成績調査のデータを提供してもらい、143,509症例の高血圧患者のデータベースを構築しました。このデータベース構築については既に「降圧剤の使用成績調査のデータベース構築研究」(H15.7)、「降圧剤の使用成績調査データベースの拡張」(H19.2)などで報告しております。
 今回新たに、会員企業7社より提供された経口抗菌剤7製品の使用成績調査のデータから、91,797症例のデータベースを構築しました。構築した経口抗菌剤データベースの内訳は下表のとおりです。

表 経口抗菌剤データベースの内訳
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 尚、この経口抗菌剤の使用成績調査データベースを用い、副作用に関して集計解析を行ったところ(1)セフェム系抗菌剤では、年齢が14歳以下特に5歳以下の患者、アレルギー既往歴のある患者、併用薬の服用の患者で下痢の発現が多くみられました。(2)ニューキノロン系抗菌剤では、男性患者、小児及び55歳以上の患者で光過敏症の発現が多くみられました。今後、薬剤疫学に基づいた定量的・相対的な市販後医薬品の評価を更に行い、医薬品の適正使用に役立てていきます。

薬剤疫学初級セミナーを開催しました。

 企業の製造販売後安全管理および調査・試験の実務経験が浅い担当者を対象に、薬剤疫学の基礎知識修得を目的とする初級セミナーを大阪(7月19日 薬業年金会館)と東京(7月25日 大手町サンケイプラザ)で開催し、延べ160名が参加されました。
 このセミナーでは、医薬品安全性監視、薬剤疫学の研究デザイン(症例報告、症例集積検討、コホート研究、ケース・コントロール研究、ネステッド・ケース・コントロール研究)とそれぞれの実例について、くすりの適正使用協議会認定講師から詳細な解説が行われるとともに、研修内容の理解度を確認する目的で演習が実施されました。また特別講演では、名城大学薬学部医薬品情報学研究室・後藤伸之教授から「薬剤疫学の実践-医薬品の製造販売後の観察研究から見出されるもの」と題して、ご自身が実施した多くの研究事例が紹介され、併せて育薬のために製造販売後調査部門が果たすべき役割の重要性が強調されました。

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2007年07月27日

当協議会のガイド2007年版を作成しました。

 当協議会では、毎年の活動を紹介するガイドブックを作成しており、2007年度版を刊行しました。
 2007年度の当協議会役員、事業計画、および2006年度の薬剤疫学/コミュニケーション事業の活動内容を掲載しています。
 目次を押すと内容にリンクします。

 ・大橋会長挨拶
 ・平成19年度 事業計画
 ・くすりの適正使用協議会の役員
 ・平成18年度 活動レポート
    薬剤疫学の分野
    コミュニケーションの分野
    その他事業の分野
 ・RAD-AR 活動をささえる会員(企業/個人)

印刷版をご希望の場合は、協議会宛までご連絡ください。

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2007年07月24日

コンコーダンス指向くすりのしおり「あなたの病気とくすりのしおり®:高血圧編」を公開しました

くすりの適正使用協議会は、この度、病気と医薬品とを結びつけた新しい情報提供サイト
「あなたの病気とくすりのしおり®:高血圧編」
を開発し、7月23日に公開いたしました。

1. 現状の課題
「なぜ、この薬を飲む必要があるのか」と思っている患者さんや、飲み残したり、飲み間違ったりする患者さんが少なからずいらっしゃいます。
これは、患者さんが「自分の病状を十分理解した上で服薬する」という基本を身につけていないことを意味していると思われますし、医薬品の適正使用が十分に確保されないと思うのです。

2. 課題解決に向けて
そこで協議会は、この解決策の一つとして、上記情報サイトを立ち上げました。
患者さんが自分の病気をよく理解し、その治療の過程に医薬品があるということを認識してもらうことを目的とします。それへ向けて発症の原因、重症度別治療方針、治療薬リスト等の情報を関連づけて提供し、高血圧の治療についてあらゆる観点から知ることができるようにしました。解説は、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2004」に準拠しています。


3. 情報へのアクセス
一般の方の手引き・・・
   患者さんのアクセスサイト(高血圧治療に関する質問と解答を用意)

治療ガイドライン・・・
   専門家と患者さんのアクセスサイト(高血圧治療ガイドライン)

高血圧症Q&A・・・
   専門家のアクセスサイト(高血圧治療に関する質問と解答を用意)

高血圧症治療薬リスト・・・
患者さんと専門家のアクセスサイト(治療薬の全てを関連情報とともに用意)

4. くすりのしおり®と連動
高血圧症治療薬(注射剤を除く)の中で、「くすりのしおり®」が用意されている品目は、リンクにより「くすりのしおり®」が見られますし、更には添付文書まで見られます。
なお、「くすりのしおり®」は、医療用医薬品毎に必要最小限の情報をまとめた情報シートで、患者さんとのコミュニケーションツールとして医療担当者の多くに広く活用されております。
収録医薬品数は約7,000品目余りで、繁用されている医療用医薬品の8割以上が収録されています。

当協議会では、今回の新しい情報サイトが、患者さんが自分の病気をよく理解し、より一層、医療担当者とのコミュニケーションを深めるツールとして役立つものと期待しております。

コンコーダンス指向くすりのしおり「あなたの病気とくすりのしおり®:高血圧編」 URL:
http://www.rad-ar.or.jp/concordance/html/

                                                             

以 上


コンコーダンスとは?
 
 英国medicines-partnershipは、“A process of prescribing and medicines” (患者さんとの協力関係の下での医薬品の処方と使用のプロセス)と定義し、それには次の3つの要素があるとしている。

 1. Patients have enough knowledge to participate as partners
    患者さんは、充分な知識をもって治療にパートナーとして参加する
 
2. Prescribing consultations involve patients as partners
    患者さんは、医薬品の処方決定にパートナーとして参加する
 
3. Patients are supported in taking medicines
    患者さんは、医薬品の適正使用に取り組む

     日本語訳は、コンコーダンスとは:患者を指導する時代からパートナーにする時代へ
      Pharmavision 8(10), 4(2004) より引用

ニュースリリースはこちら

2007年07月11日

「くすりのしおり®」と「安心処方infobox」がリンクされました

7月2日よりくすりの適正使用協議会の「くすりのしおり®」とIMSジャパン株式会社の「安心処方infobox」がリンクされ、医療情報提供企業の株式会社ケアネットの医師・医療従事者向け専門サイト「CareNet.com」(ケアネット・ドットコム)上にてオープンされました。

くすりのしおり®」は、医療用医薬品毎に必要最小限の情報をまとめた情報シートで患者さんとのコミュニケーションツールとして医療担当者の多くに広く活用されています。一方「安心処方infobox」は、医師・薬剤師のための医薬品安全性情報に特化し、副作用と処方された複数薬剤の関連性を平易な操作で検索できる機能を最大の特徴とする新しいサービスです。

現在「くすりのしおり®」の収録薬品数は約7,000品目余りで、繁用されている医療用医薬品の8割以上が収録されています。また、記載内容は中学生がほぼ理解できる程度を基準としています。

当協議会では、今回の「くすりのしおり®」と「安心処方infobox」のリンクが、数多くの医薬品の情報収集を行う必要のある医師・薬剤師の先生方にとって、 複数のウェブサイトを検索しなければならないといった手間を軽減させることにつながり、ひいては、より一層「くすりのしおり®」の有用性が高まるものと考えております。
ニュースリリースはこちら

2007年07月03日

RAD-AR News Vol.18-No.2の発行のお知らせ

機関誌「RAD-AR News(レーダーニュース)」の<No.2>を7月3日に発行しましたので、その概要をご案内します。
 ・第19回理事会/第29回通常総会を開催
 ・平成19年度活動計画
 ・シリーズ 食品との相互作用を考える 第1回
 ・シリーズ ファーマシューティカルケア 第1回
 ・シリーズ 生活情報と疫学 第2回
 ・海外レポート/くすりの学校教育⑤
 ・4月特別講演「国際競争力のあるワクチン開発を目指せ!」
 ・イベントカレンダー/編集後記
 
なお、次号は平成19年10月上旬に発行の予定です。

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